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山のトイレとヒーターの役割。家庭用トイレとの違いは凍結防止

新型コロナウイルス感染症が5類に移行後、登山を楽しむ人が増えました。登山人気を受けて、人気のある山の頂上には登山者のためにトイレを設置してあります。山頂のトイレも最近では清潔に維持されていて、中には便器にヒーターが備え付けてあるものもあります。この山頂トイレについているヒーターは、家庭用トイレのものとは役割が異なります。いったい何が違うのでしょうか。

家庭用トイレのヒーターは、便座をあたためるのが目的

オフィスや家庭用のトイレには便座にヒーターが組み込まれているものがあります。その役割は座ればすぐにわかります。便座をあたためて、快適な排便ができるようにするためです。便座に腰を下ろした瞬間、ほんのりとしたあたたかさを感じると、ほっとしてどことなく気分が落ち着きます。特に冬はこの気分が大きいのではないでしょうか。

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便座をあたためるヒーターは便座ヒーターと呼ばれています。設定温度に応じてヒーターが加熱し、便座をあたためます。便座ヒーターは、便器とセットになった製品と、既存の便座と取り替えて使用する単体製品の2種類があります。

山頂にあるトイレのヒーターは凍結を防ぐため

一方、山頂のトイレに備え付けてあるヒーターは、便座をあたためるためではなく、別の用途に使われています。冬の凍結防止です。

水と電気が整備してある山の頂上には、登山者のために水洗式のトイレを設置しているところがあります。山頂は地表よりも気温が低く、特に冬は氷点下になるときもあります。すると、トイレの浄水管や配水管が凍結して便器内の排泄物を流せなくなったり、配水管が破裂したりするおそれがあります。

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こうした凍結によるトラブルを防ぐため、山頂のトイレには寒冷地で使われているヒーター付き便器を備え付けているといいます。ヒーター付き便器は前述した便座ヒーターと異なり、便座ではなく陶器でできた便器内部に電気ヒーターが組み込まれています。そして、ヒーターに電源を入れて便器全体をあたためると、つながっている配管に熱が伝わり、凍結を防止します。

山頂トイレのヒーターは温度設定を変えないように

近年、登山ブームが再燃し、山登りを楽しむ人が増えています。その一方で、登山者のマナーが問題視されるようにもなりました。そのひとつに、山頂トイレのヒーター温度を勝手に変える行為があります。おそらく、山頂トイレのヒーターを自宅の便座ヒーターと同じ扱いをしたのではないかと思います。

すでに説明したように、家庭用トイレの便座ヒーターは便座に腰を下ろしたときに心地よいあたたかさを与えるためのものです。これに対して、山頂トイレのヒーターは凍結を防止するためのものです。山頂トイレのヒーター温度をむやみに高くすると、余分な電気代を消費し、トイレの維持管理に影響を与えます。また、低い温度にしてしまうと凍結を防止できなくなったり、低温でヒーターが故障したりするおそれがあります。

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登山道や山頂のトイレは、家庭用のトイレと同じ感覚で使ってしまうと他の利用者や維持管理をしている人たちに迷惑をかけてしまいます。電気ヒーターを製作している立場からも、山のトイレにあるヒーターは温度設定を変えないよう呼びかける次第です。山のトイレは公共の施設です。それゆえ、誰もが気持ちよく利用できるよう、清潔に使うこともお願いしたいところです。

参考:「山のトイレ」はマナー違反横行 問われる登山者のモラル(産経新聞)

連日の猛暑日が続いた夏もそろそろ終わりが見えてきました。秋に入れば、紅葉狩りを兼ねて登山を楽しみたいという人もいるのではないでしょうか。それが終われば冬山シーズンに入ります。弊社も、ヒーターを通じて登山を楽しむ人の役に立ちたいと思っています。それもあり、山頂トイレと家庭用トイレのヒーターは役割が異なることを知ってほしい次第です。

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