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雪庇はヒーターで溶かして防止!おすすめのヒーターと設置例
2024年09月26日
雪国において、雪庇(せっぴ)問題は従業員の安全確保と生産性向上における深刻な課題です。融雪ヒーターの導入によって、危険な雪下ろし作業を不要にし、労働時間の削減と安全性の向上を実現した具体的な事例を紹介します。
また、融雪用ヒーターの選定や導入後の効果、さらにはコスト削減に繋がるメンテナンスの変化についても詳しくご案内しております。これからの冬季対策をご検討でしたら、ぜひ参考にしてください。
工場屋根への融雪ヒーター設置事例
雪国の工場における雪庇対策として、融雪ヒーターの導入を効果的な解決策として提案してます。
導入前の課題:雪庇形成と危険な雪下ろし作業
積雪地域の工場では、屋根に雪庇が形成されることで、大規模な雪かき作業が必要になったり、危険を伴う課題が発生していました。雪庇は建物の安全性を脅かすだけでなく、落ちてくる雪庇による事故リスクが高まり、従業員の安全も危ぶまれる事態になります。
特に大規模な工場建築物では、雪下ろし作業が極めて困難な場合が多く、さらに高所での作業は転落のリスクも高まります。また雪下ろし作業は重労働であるため、作業員の疲労も大きな問題となってるというお悩みがご相談としてありました。
さらに、雪下ろし作業のために通常業務を中断せざるを得ず、生産性の低下しているという状況だったため、大変お悩みになられておられました。
融雪ヒーターの選定と設置方法
お客様の課題を解決するために、当社では工場の屋根面積や積雪量を考慮し、最適な融雪ヒーターを選定しました。選択したのは、高効率で省エネ性能に優れた自己温度制御型ヒーターの「テクヒーター®」です。
設置に関しては以下の手順で行いました。
- 屋根の状態調査と設計図作成
- 最適なヒーター配置の決定
- 屋根材を傷つけない特殊な取り付け方法の採用
- 防水処理と配線工事
- 制御システムの設置と調整
実態調査は直接現地へ訪問し、どのような問題をクリアしたいか、丁寧にヒアリングを行いました。ご相談いただいた工場では、庇の形状が波型になっていたので、形にあわせてヒーターを這わせる設置をご提案、その後スムーズに設置工事を完了させました。
導入後の効果:労働時間削減と安全性向上
融雪ヒーター導入後、雪庇の形成が防止され、危険な雪下ろし作業が不要になりました。今まで課題と感じられていた「作業安全性」「生産性低下」に対して改善をすることができました。
導入いただいた企業様からも「冬場の作業に対する不安が解消された」との声が多く聞かれ、職場環境の改善にも貢献できたことを嬉しく思います。
メンテナンス頻度の変化と長期的なコスト削減
融雪ヒーター導入により、屋根のメンテナンス頻度も大幅に削減され、雪かきを行う頻度も大きく下がりました。
導入に関しての費用はかかりますが、長期的には以下のコスト削減効果が見込まれます。
- 雪下ろし作業員の人件費削減
- 屋根の損傷リスク低減による修繕費の削減
- 生産性向上による収益増加
設置後のメンテナンスに関しても、ヒーターに異常がないかを確認するため抵抗値を年に1回測定を行うかぐらいで、ほぼメンテナンスは不要です。雪国において、融雪ヒーターは効果的な防止施策といえるでしょう。
雪庇対策における基本知識
雪庇対策においての基本知識について解説します。
雪庇(せっぴ)とは
雪庇は、屋根の軒先や壁面から突き出すように形成される雪の塊を指します。風の影響で雪が積み重なり、独特の形状を作り出します。雪国に居住していない我々横浜の人間にはなじみのない言葉でした。
雪庇は雪国らしい見た目で知らない人間からすると美しいものに見えますが、実は落下の危険性が高く、建物や人身への被害をもたらす可能性があります。そのため、雪が降り積もる地域では適切な防止対策が不可欠です。
雪庇の形成は、屋根の形状や気象条件に大きく左右され、特に、急勾配の屋根や風の強い地域では、発生リスクが高まります。北海道を訪れた際、街並みに平たい屋根が多いことに驚きました。今は雪を落とさない構造(陸屋根と呼ぶそうです)が主流のようです。
融雪システムの仕組み
融雪システムは、屋根に設置されたヒーター装置を使用して雪を溶かします。陸屋根の勾配の低いところにヒーターを設置して、融雪を行うことによって、雪庇形成を未然に防ぎ、安全性を高めています。
弊社ではヒーター設置に関しての構成要素は以下の3点セットで提案しております。
- ヒーターケーブル:屋根に沿って設置され、熱を発生させます。
- 温度センサー:外気温を検知し、システムの作動を制御します。
- 制御装置:効率的な融雪を実現するため、ヒーターの出力を調整します。
ヒーターを設置・作動することによって、雪庇の形成を防ぎます。これにより、危険な雪下ろし作業が不要になり、建物の安全性が向上します。雪下ろし作業が不要というのはとても魅力的ではありませんか。
熱伝導率と融雪効率
融雪システムの効率は、使用する材料の熱伝導率に大きく依存します。熱伝導率が高いほど、熱エネルギーが効率的に雪に伝わり、融雪効果が高まります。
当社が提案する「テクヒーター®」には以下の特徴があります。
- 屋外設置可能なヒーター
- 自己制御型なので電力消費をコントロールし効果的な融雪が可能
- 設置個所の雪量が多い場所は出力を高く、少ない場所は出力を小さく効率的に発熱
何よりもテクヒーター®の一番の特徴は、自己制御型ヒーターという点です。適切な熱伝導率の選択をヒーターが行ってくれますので、エネルギー効率と融雪効果の最適なバランスを実現しています。これは、電力消費の長期的なコスト削減にもつながります。
防水処理の重要性
ヒーターの導入において、防水処理は非常に重要です。電気で発熱するヒーターは適切な防水がなされていないと、融雪時の水分が建物内部に浸入し、漏電につながる恐れがあります。
テクヒーター®には、以下の防水対策が施されています。
- 高品質な防水シーリング材の使用
- ヒーターケーブルの完全防水処理
これらの対策により、屋外でも使用できるヒーターとして活用できます。
テクヒーター®T6シリーズ
雪庇対策にとても有効なテクヒーター®T6シリーズについてご紹介させていただきます。
テクヒーター®の概要と用途
テクヒーター®は、PTCセラミックス技術を採用した世界初のトレースヒーターです。自己温度制御性と高い耐久性を備えており、屋外屋内問わず多様な場面でご使用いただけるヒーターです。電気を使ったヒーターでは重ね巻きは危険なため非推奨なのが一般的ですが、テクヒーター®は重ね巻きができるのも大きな特徴です。
主な用途としては、着雪防止・融雪・つらら対策はもちろん、配管保温/加熱、結露対策、温度管理などにも適しています。工業用、住宅用、農業用、商業用と屋外屋内問わず幅広い分野で導入・ご活用いただいております。
特に雪庇対策においては、屋根に設置することで効果的な融雪を実現し、危険な手作業での雪庇除去を不要にするため、当社でも積極的にご提案しております。
無駄のない省エネルギー性
テクヒーター®は、PTCセラミックスの特性を活かした自己制御型ヒーティングケーブルです。環境温度の変化に応じて、常に一定の温度を保つようヒーター自身が調整を行います。
この特性により、必要以上の発熱を抑え、エネルギー消費の無駄を極力減らします。結果、省エネルギー性を実現し、運用コストの削減にも貢献します。
雪庇対策においても、外気温に応じて発熱調整を行うため、効率的な融雪が可能となります。
優れた安全性
テクヒーター®は、ヒーティングケーブル自体が自己出力制御型です。温度調節用のサーモスタットを使用せずとも、異常過熱や焼き切れを防止します。安全性も高いヒーターであると言えるでしょう。
さらに、ヒーター同士が接触しても自己温度制御性(抵抗値の変化するPTCの構造)があるため、重ね巻きなどの施工も可能です。これにより、複雑な形状の屋根や雪庇が発生しやすい箇所にも柔軟に対応できます。
なお、より細かい温度管理が必要な場合は、温度調節器を組み合わせることも可能ですので、ご相談いただければと思います。
高い柔軟性と長さの自在性
テクヒーター®は高い柔軟性を持っています。そのため、段差や階段、複雑な配管など、様々な形状の屋根や建築物にも容易に施工することができます。
また、並列回路型のヒーターであるため、0~50m間の好きな長さにカットして使用できます。現場での長さ調整が可能なため、施工を行う屋根の形状や大きさに合わせて最適な設置が可能です。※加工には電気工事士の資格が必要です
弊社では、0~50m間の長さで必要な分だけをカットしての販売も承っております。加工は都度見積となりますので、ご相談ください。
まとめ
積雪地域の工場では、雪庇対策が従業員の安全と生産性向上において重要な課題です。
融雪システムの選定や設置方法、屋根材に応じた最適なヒーターの種類についても詳しく解説しましたがいかがでしょうか。スリーハイでは現場を確認させていただいた上で、お客様と一緒に解決策を考えることを得意としております。導入をご検討でしたら、ぜひお問合せください。