- ヒーター活用例
ボランティア活動に一役。被災地での炊き出しで大型容器を加熱・保温できるペール缶ヒーター
2019年11月11日
男澤 誠

地震や豪雨といった大規模自然災害が発生すると、災害ボランティアの人たちは被災地に入り、避難所で食事の提供に取り組みます。最初のうちは、おにぎりや仕出し弁当のような出来合いの食事を配ることから始めますが、ライフラインが復旧すると次はあたたかい食事を出して被災者を元気づけたいと思うようになります。その際、避難所で調理するには人手がいるため、事前に仕込んだ料理を容器に入れて持ち込むほうが効率的です。しかし、遠方から運んでくると料理が冷めてしまい、あたたかい食事を提供したいという本来の目的が果たせません。
ここで役に立つのが、給食のようなバケツ型の大型容器を加熱・保温できるペール缶ヒーターと断熱ジャケットのセットです。今回は、被災地でのボランティア活動で食事の提供をするのに役立つ大型容器用のヒーターを紹介します。
避難所にいる人たちにあたたかい食事を提供したい
東日本大震災以降、日本国内では震度6強以上の地震が多発するようになりました。
さらには、数十年に一度といわれるほどの記録的豪雨をもたらす大賀台風が日本に接近・上陸するようにもなっています。
こうした大規模自然災害が発生すると、被災地で暮らしている人たちは学校の体育館や公民館で長期間の避難生活を余儀なくされます。
避難生活で欠かせないのが毎日の食事です。食事の準備はボランティアがつとめますが、調理や給仕の際にさまざまな難題に直面します。中でも頭を悩ませるのが、避難所にいる大勢の被災者にあたたかい食事を提供するための方法です。
大規模自然災害が発生した直後の被災地では、電気やガス、水道といったライフラインが寸断して使用できなくなります。そのため、ライフラインが復旧するまでは避難所で食材を調理するのは困難です。また、ライフラインが復旧しても避難所で調理するにはたくさんの加熱器具が必要です。一番手頃なのは、カセットコンロを何台も用意する方法です。しかし、毎日大勢の被災者に食事を作るとなるとカセットボンベを大量に消費するため効率的ではありません。避難所での支援が長期間になると、ボランティアで活動する人たちは、もっとよい方法があればと考えるのではないでしょうか。
事前に調理して持ち込んでも料理が冷めてしまう
あたたかい食事を効率的に給仕する方法として、被災地から離れた場所であらかじめ調理した料理を車で避難所に運び、そこで温め直すことが思い浮かびます。この方法であれば、避難所で調理する手間も人手も少なくなります。半面、解決しなければならない課題があります。
一番の課題は調理済み料理の加熱・保温です。体育館のような避難所での食事は量が多くなります。そのため、自動車を使って避難所まで届ける際は、学校給食で使うような大型の金属容器に入れるのが安全です。
しかし、遠い場所から運搬されてきた料理は避難所に到着するまでに時間が経過し、冷めてしまう場合があります。温め直そうとしても料理の入った大型容器は重量があるため、カセットコンロは使えません。ご飯、汁物、おかずなど、料理の品数が多ければ避難所にある設備で加熱しようとしてもまかないきれないでしょう。
専用の加熱・保温用の機材があれば解決の道はありそうですが、目的にかなう製品はなかなか思い当たらないのではないでしょうか。
大型容器を温められるペール缶ヒーターが便利
大容量の容器を加熱したり保温することのできるよい製品が実はあるのです。今回のような場合では20リットルほどの円筒状の容器を使うことが多いと思います。この容器に適した加熱・保温装置として、ペール缶ヒーターがあります。
ペール缶ヒーターは電気で加熱するヒーターです。火を使わないため火災を起こしにくいため、避難所での使用にも適しています。使い方は、容器の側面にヒーターをとりつけて温度設定をするだけです。加熱温度は最高で70度と、汁物をあたためるのに申し分ありません。
側面にヒーターをつけたままでは使用中に手などが触れてやけどをしてしまうおそれがあります。そこで、ペール缶ヒーターを使うときは、容器の周りを覆う断熱ジャケットをいっしょに用意します。避難所でボランティアが容器を安全に扱うためにもヒーターと断熱ジャケットはペアで揃えておくのが実用的です。
20リットルよりも大きな容器を加熱・保温したいときはドラム缶ヒーターという製品もあります。ただ、炊き出しの際はそこまで大きな容器を使用することはないでしょう。
いくつもの容器を同時にあたためたいときは、ペール缶ヒーターではなく複数の容器を加熱できる台座式の底面ヒーターがあります。
ほかに、おかずを入れておくフードコンテナのような角形容器専用のヒーターもあります。導入する際はあわせて検討するとよいでしょう。
避難を強いられている人たちの気持ちを少しでも和らげるのがあたたかい食事です。毎日の食事を給仕するボランティア活動に、ヒーターは大いに活躍してくれると信じています。

- 男澤 誠
- 代表者である前に一人の人間として誰にでも平等に接するように心がけています。お客様、従業員がスリーハイを大事にしてくれる、そんな企業を目指しています。