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これでもう迷わない!産業容器用電気ヒーターの選び方 Part II 【底面加熱編】

前回は、シリコンラバーヒーターやマントルヒーターを容器に密着させてあたためる密着加熱について紹介しました。今回は、底面ヒーターで容器の底からあたためる底面加熱について取りあげます。

底面加熱と底面ヒーター

底面加熱とは、容器をヒーターのついた台に置いて、底面から中身をあたためる加熱方法です。密着加熱のように、ヒーターを容器に取り付ける作業をしなくてよいのが長所です。また、容器の形状に合わせた専用のヒーターを特注する必要がありません。あたためたいものを入れた容器を台の上にのせるだけで簡単に加熱することができます。

底面加熱をするための器具として代表的なのが底面ヒーター(ホットプレート)です。産業用の底面ヒーターは、一度にたくさんの容器をあたためることができるなど、業務用途で利用しやすい設計がされています。

底面ヒーターは弊社主力製品の一つ

底面ヒーターはさまざまな業務分野で需要があります。弊社でも底面ヒーターには力を入れており、「GOEMON-150」という製品を販売しています。GOEMON-150は、容器を置く台に底上げ用の突起がある通常型と、受注生産品として台が平らなフラット型の2種類があります。

choice_for_heaters_part2_1.jpgGOEMON-150の特徴は次の通りです。

  • 一斗缶やペール缶を一度に4缶まとめて加熱可能。
  • 置くだけで簡単に加熱できる。
  • 大型の電気炉と比べて消費電力が少ない。

構造は、クッキングヒーターや電気コンロと同じです。台の裏にヒーターを張り巡らして、むらなく加熱できるようにしてあります。下の写真は、フラット型の裏面です。

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GOEMON-150の詳細については、製品紹介ページをご覧ください。

底面ヒーターはこんな現場で活躍

底面ヒーターはどのような現場で、どういった用途に使われているのでしょうか。これまでの弊社GOEMON導入実績をもとに事例を紹介していきましょう。

金属部品の表面処理加工に使用する防錆剤の加熱

金属部品の加工処理をする現場では、部品の表面に防錆剤を塗布する作業があります。ところが、防錆剤を扱う上で次のような問題があります。

  • 常温では防錆剤にむらが生じていて、攪拌しないと品質を一様に保てない。
  • 防錆剤は常温だと粘度が高く扱いにくい。常温のまま攪拌すると、作業者の労力的負担が大きい。
  • そのため、加熱して粘度を和らげる必要がある。
  • 防錆剤は大量に使用するため、一度にたくさんの缶をあたためておかないと効率が悪い。

これらの問題を解決するために、通常型のGOEMON-150を導入しました。

通常型のGOEMON-150は、容器を置く台を底上げしてあります。この底上げの大きさは、一斗缶やペール缶のサイズに合うように設計されています。

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底上げしてあると、缶の底面と加熱面が隙間なく接します。これにより、容器内の液体に熱を伝えやすく、効率よく加熱できます。しかも、加熱にむらができません。そのため、防錆剤の粘度や品質を一様に保つことができます。

実際にGOEMON-150を使用したところ、抱えていた問題を解決できたと好評を得ました。現在はGOEMON-150を複数台導入して、防錆剤の入った容器を大量にあたため、作業の効率化を図っているとのことです。

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食品加工における食用油脂の粘度低下

食品工場など食品を調理・加工する現場では、ラードやごま油などの食用油脂を使うことがあります。食用油脂を扱う際は、次のような課題があります。

  • 食用油脂は粘度が高く、作業に入る前に加熱して粘度を下げなければいけない。
  • 粘度が高いままでは油脂にむらができ、食品の味に影響する。
  • 食用油脂の入った缶を熱湯の中に入れてあたためる方法もあるが、缶が錆びてしまうため食品衛生上好ましくない。
  • 食用油脂は大量に使うため、缶をまとめて加熱しないと、作業効率が悪い。

そこで、GOEMON-150を導入して食用油脂の入った缶を加熱することにしました。GOEMONは、フラット型を使用します。フラット型にしたのは、食用油脂の入った缶にはさまざまな形状があるため、それらをまとめて台の上へ置くのに好都合だからです。衛生面上、缶を置く台は錆びない材質が望ましいことから、ステンレスを用いています。

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フラット型の底面ヒーターを使うことで、形状の異なる缶を一度に複数あたためられ、食用油脂の粘度をむらなく下げることができようになったといいます。現場では、さまざまな食用油脂を大量に使用するため、フラット型の底面ヒーターを何台も導入して食品加工に役立てています。

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複数の容器を同時に加熱するだけでなく、液体の粘度低下に力を発揮

底面加熱のできる産業用底面ヒーターは、業務で使う大型容器を一度にたくさんあたためるのに役立ちます。それに加えて、これまでの導入実績から、液体の粘度を下げる目的で使われるケースが多いことがわかりました。したがって、油脂成分を含んだ液体をあたためるのにも有用といえます。今回取りあげた産業分野以外でも、薬品、化粧品、塗装に関する業務にも底面ヒーターは大いに力を発揮できそうです。

底面ヒーターを選ぶ際は、大きさが同じ容器をあたためるのであれば底上げ型を、大きさが異なる容器や汎用性を考慮するのであればフラット型を使うのがよいでしょう。

2回にわたり、産業用の容器を加熱する方法と、それぞれに適したヒーターについて解説しました。自社の業務にヒーターを使いたいとき、ウェブサイトやカタログを見てもどれを選べばよいのか見当がつきません。結局、結論が出ずに頓挫してしまうこともあるかと思います。そのようなときは、弊社まで一度ご相談ください。これまでに培った経験をふまえながら、要望に叶う製品をご提案いたします。

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