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普及進むLED信号機、雪国では融雪対策が課題

小学生が信号機を入手して自分で修理して点灯させたというニュースがネットで話題になりました。

信号機を落札した小学生、独学プログラミングで点灯成功「LEDより昭和の電球式の方がなじみがあって好き」(ORICON NEWS)

このニュースを読みながら、ふとヒーターが頭に浮かびました。信号機とヒーターとの間にはつながりがあるからです。

小学生が直した信号機は白熱球式で、今となっては旧式です。最近はLED電球式が増えています。ところが、LED電球式は信号機に積もった雪をなかなか溶かせず、雪国では普及が進んでいません。

雪国に設置してある信号機の特徴を紹介しながら、LED信号機で果たすヒーターの役割と課題について取りあげます。

信号機も白熱球からLED電球に

道路や線路で見かける信号機は、交通安全を維持するのに欠かせない設備です。信号機は技術の進歩とともに進化しています。代表的なのが信号機の要である、青、黄、赤に点灯するランプです。従来は、白熱式の電球が使われていました。現在ではLED電球が用いられています。老朽化で設備交換の際にはLED電球式の信号機に置き換えられています。

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参考:LED式信号灯器に関するQ&A(警察庁)

LED電球式の信号機は高輝度・長寿命、そして消費電力が少ないのが長所です。半面、地域によっては白熱球と比べて使い勝手の悪い短所があります。その地域とは、降雪量の多い雪国です。

雪国では、信号機のランプ周辺に雪が付着すると点灯状態が見えにくくなります。しかも、路面は雪や氷で滑りやすくなっているため、赤信号が見えにくければブレーキを踏むタイミングが遅くなります。その結果、不慮の交通事故を引き起こしかねません。

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雪国の信号機には融雪対策の工夫が

LED電球式の信号機が雪国では不便であるかを説明する前に、従来の信号機から用いられている積雪や融雪対策について紹介します。

雪国の信号機は、付着した雪で信号が見えにくくならないよう、さまざまな工夫をしています。

ひとつめは、信号機のランプの上に積雪対策用のフードが取り付けられています。信号機には、日中でもランプの点灯が見やすくなるように円筒形のカバーがついています。これに対して、雪国では積雪対策もかねて大型の円弧形ののフードを使用しています。

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ふたつめは、自動車用の信号機はランプを水平に並べた横型ではなく、垂直に並べた縦型を使用しています。横断歩道で見かける歩行者用の信号と同じです。横型の信号機では、ランプごとに大型のフードをつけなければなりません。縦型にすると最上部のランプにフードを取り付ければよく、コストを抑えられます。降雪量が多い地域では、各ランプごとにフードを取り付けている場合もあります。

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さらには、信号機を斜めに傾けて設置しているところもあります。積もった雪が落ちやすいようにするためです。

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降雪量の少ない地域に住んでいると、雪国特有の信号機があるとは気がつきません。出張や旅行で雪国を訪れたときには信号機にも目を向けてみるとよいでしょう。

参考:道路標識と信号機の森

雪とは関係ありませんが、こんなユニークな信号機が神奈川県にあります。

LED信号機の難点は付着した雪や氷を溶かせない

信号機にフードをつけ、縦型を採用するなどして降雪対策をしても、LED電球に置き換えると避けられない問題を抱えます。以前、ブログで取りあげた白熱球投光器をLED電球式に置き換えると配管の凍結対策ができなくなるのと同じ問題です。

参考:冬の配管凍結防止対策、白熱球投光器からヒーターで"卒"昭和

白熱球式の信号機では、フードに付着した雪や、溶けた雪がつららとなってランプ周辺に垂れ下がっても、白熱球から放出する熱で溶かすことができます。しかし、LED電球は発熱量が小さいために溶かすことができません。そのため、LED信号機では融雪用のヒーターが必要になるのです。

参考:一体いつ頃から? 信号のLED化が始まった時期

信号機の融雪対策に使うヒーターは、防水性のシリコンラバーヒーターをフードの中に組み込んで使用する場合が多いです。縦型の信号機であればフードはひとつだけなので、組み込み用のシリコンラバーヒーターもひとつですみます。

LED信号機の普及とともにヒーターによる融雪対策は重要に

シリコンラバーヒーターを用いたLED信号機の融雪対策はとても有用です。その一方で課題もあります。

まず、LED信号機の長所である低消費電力、すなわち省エネ性能を損なってしまう点です。LED電球は白熱電球に比べて電力を消費せず、電気代を節約できます。しかし、ヒーターで加熱すると電力を消費し、電気代がかさみます。そのため、本末転倒な事態を招きます。電力消費が大きいのは降雪期だけとはいえ、考慮に入れておかなければなりません。

さらに、ヒーターを取り付けると信号機1灯あたりのコストも上がります。信号機は道路だけでも交差点をはじめ多くの場所に設置しなければなりません。すべての信号機にヒーターを取り付けるのは費用対効果があわず、要所のみに限られてしまいます。

低消費電力でコストを抑えたLED信号機用の融雪ヒーターを開発・提供するのは、ヒーターを手がける私たちメーカーの責務と考えています。交通安全を守るための重要な仕事と位置づけ、弊社でも取り組んでいきたい所存です。

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