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営業担当者が助言!輸入ヒーターは安全性に気をつけて

営業の仕事は、自社の製品を売り込むだけではありません。他社が開発・製造している製品の調査や情報収集も大事な仕事のひとつです。情報収集にあたっては、ネットで検索するだけではなく、商品を取り寄せて調べたりすることもあります。

先日、調査の一環で海外メーカーのヒーターを輸入してみました。さっそく中を開けてみると、予想外の出来事にびっくりしました。そのときの一部始終を動画にまとめてありますので、まずはご覧ください。

動画では詳しく述べていませんが、とりわけ製品の安全性については気になる点が多く見受けられました。そこで、海外製ヒーターを輸入する際に知ってほしい安全面の注意点を取りあげます。

※ これから述べる内容は、必ずしも海外製すべてに共通するものではありません。あくまで今回取り寄せた製品についての見解です。

小さい梱包に押し込まれ、接触不良になりかねない

まず驚いたのは、梱包の小ささでした。おそらく、搬送費用を抑えのでしょう。あまりの小さい梱包に、中に入っているヒーターは大丈夫なのか心配になりました。さっそく梱包を開けてみると、心配した以上の状況に唖然としました。ヒーターを4回巻きにして押し込めてあったのです。弊社の場合、梱包に使うダンボールは大きめのものにして、ヒーターは2回巻きに留めます。これ以上巻いてしまうと、ヒーターのニクロム線が断線して接触不良を起こすおそれがあるからです。

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さらに、エアクッションや発泡スチロールといった緩衝材が入っていません。そればかりか、ヒーター本体はエアパッキンにくるまれているだけで、ビニール袋に収められていませんでした。

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ヒーターは電気製品です。雑な梱包をすれば、搬送中に初期不良を引き起こす危険は十分にあります。日本のメーカーはこのことを熟知していて、製品を入れる際は余裕のある大きさの梱包を用い、緩衝材などで衝撃対策を施します。

検品不足か、甘い作り込みと金属片の付着

ヒーター本体の作り込みにも気になる点が見られました。ヒーターの裏面(両面テープがついている面の反対の面)を見ると、空気がたまって膨らんでいるような気泡があります。おそらく、プレス処理が不十分なために生じたものと考えられます。この気泡は裏面にあるため、ヒーターそのものの性能には大きな影響はないでしょう。とはいえ、製品としての品質を損ねています。

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容認しがたいのは、裏面に金属片が付着していた点です。温度コントローラーとつなぐために、被服を剥がした導線の破片が付着したようです。金属片の付着は、感電などを引き起こすおそれがあるため、拭き取っておかないと危険です。

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さらに問題なのは、ヒーター本体に規格表示が印字されていない点です。規格表示がなければ耐電圧など、使用する上で重要となる情報をすぐに知ることができません。しばらく使わずにいて、再び何かの用途で使おうとしたとき、ヒーターの規格がわからないまま使用すれば故障するおそれがあります。そればかりか、使い方次第では火災につながる危険もあります。メーカーや問い合わせ先の印字も見当たらず、再利用時には注意が必要です。

極めつきは、取扱説明書が入っていないのです。梱包の中を何度も入念に探したのですが、書類として入っていたのは納品書のみです。当然ながら、納品書には規格仕様や取扱いの注意書きは一切書かれていません。肝心のヒーターの取扱説明書は見つかりませんでした。

安全面で日本の当たり前が輸入品には不十分なおそれ

製品の梱包、作り込みと検品、添付書類を一通り確認し終えて実感したのは、製品に対する安全性への意識と配慮が日本のメーカーと海外のメーカーとの間で差があることでした。

日本のメーカーであれば、梱包作業は単に製品を入れればよいとは考えないでしょう。本体をビニール袋に包んだ後、発泡スチロールやエアパッキンといった緩衝材を入れて搬送中の衝撃を抑えるのは当然の配慮です。ヒーターであれば巻き数を減らして接触不良を起こさない対策もとらなければなりません。そのためには、多少コストがかかっても大きな梱包材を用いて購入先に送り届けます。

検品の徹底も日本のメーカーとは差があるようです。目視を含め、検品は入念に行います。今回取り寄せたヒーターのように、プレス処理が不十分で気泡が入った製品は絶対に販売品から除外します。表面に付着した金属片の付着は必ず取り除いておくのも怠りません。万一、動作不良や感電を起こせば製造元の信頼を失います。もし使用中に不具合があって製造元に検査や修理を依頼を受けた際は、調査・確認の上、検査証明書を発行します。

規格仕様を記載した取扱説明書の添付は絶対不可欠です。ヒーターを多用途に使うのであれば、規格仕様を確認しなければなりません。ときには、取り扱い上の注意を読み直す必要もあるでしょう。しかし、取扱説明書は紛失しがちです。製品本体に規格仕様を印字しておくのは日本製品では必ずします。もし、取り扱いの注意を知らずに使用したらどうなるのかと考えると不安でなりません。

日本メーカーが顧客に対して特に重要と捉えている安全面への配慮が、これほど軽視されているのには驚くばかりです。

安さ重視で海外製ヒーターを輸入するときはの安全上の確認を忘れずに

ヒーターを購入するとき、用途によっては価格の高い製品よりも、安い製品で間に合わせたいときがあります。その際に候補に挙がるのが海外製の安価なヒーターではないでしょうか。弊社製ヒーターと比べると、温度コントローラーなしでも価格が10分の1以下で購入でき、破格的に安上がりです。しかしながら、安さと引き換えに製品の品質や検品の不十分さ、取扱説明書が添付されていないなど、使用する上で十分な注意が必要です。

また、日本の製品は安全面に対して厳格に取り扱われています。国内で電化製品を製造・輸入・販売するには電気用品安全法(PSE:Product Safety Electrical Appliance and Materials)に準拠しなければならず、それを証明するための認定を受けなければなりません。そして、認定品にはPSEマークをつけることが義務づけられています。PSEマークの取得にかかる経費は価格に転嫁されてしまいますが、そのぶん安全と安心を提供しています。こうした日本製品の当たり前が、海外製では同等にあるとは限らない点を忘れないでください。ちなみに、今回購入した海外製ヒーターにはPSEマークはついていませんでした。

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今回、調査目的で入手した海外メーカーのヒーターは一種類のみです。今後、弊社でも他の海外製品をいくつか取り寄せて、さらなる調査をしていきたいと考えています。何かわかりましたら改めて紹介します。

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