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保温カバーやシリコンスポンジを活用した電気代節約術

長引く円安と、紛争による天然資源や原材料の輸入価格高騰は、モノ作りを営む企業にとって重くのしかかっています。それに加えて、エネルギー価格の上昇にともなう光熱費の値上げが度重なり、操業に負担を強いられています。

こうした背景から弊社にはここ最近、電気代を抑えつつ工場内設備の加熱・保温や凍結防止ができないかという問い合わせが多く寄せられるようになりました。その問い合わせに提案しているのが、保温カバーやシリコンスポンジの活用です。この活用方法は、電話やメールでは十分説明しきれない部分があります。そこで今回、ブログのテーマとして取りあげることにしました。

電気料金の値上げと寒波の到来で保温や凍結対策の相談が急増

ここ数年、電力会社各社は燃料価格の高騰から、電気料金の値上げを繰り返し実施してきました。

参考:「1年半で約3,000円の値上がり!?電気代はなぜ上がっている?」(日本生命)

モノ作りの現場において、生産ラインで稼働する産業用機械や材料の加工処理に電力は不可欠です。価格転嫁ができない状況の中、度重なる電気料金の値上げは収益を圧迫し、経営に影響します。

これに追い打ちをかけたのが寒波です。今年の冬は寒さが厳しく、首都圏の都市部でも、深夜から早朝にかけて気温が零度以下になる日がたびたびあります。このような寒さになると、屋内でも水道管や配管の凍結が気がかりです。凍結で配管が破損すれば、交換に費用がかかります。

産業用機器の加熱・保温や凍結対策には、電気による加熱が効果的です。しかし、昨今の電気料金の値上げと厳しい寒波の影響で、おいそれと加熱機器の使用ができないというのです。

こうした厳しい現状をなんとかしたいと、電気代を節約しつつ保温や凍結防止ができる製品はないかという相談が急増しています。弊社は加熱や保温だけでなく、凍結防止に役立つ製品も取り扱っています。これまで培ってきた経験をふまえながら、相談には誠意をもって対応しています。

電力消費を抑えて保温や凍結防止ができる保温カバーとシリコンスポンジ

生産ラインで使用する器具や配管をあたためておくには、電気ヒーターを使うことが多いと思います。電気代を抑えて加熱・保温、あるいは凍結防止をするには、断熱効果のある素材をあわせて用いるのが良策です。保温や凍結防止への問い合わせに弊社では、保温カバーとシリコンスポンジをすすめています。それぞれについて詳しく紹介します。

▼ 保温カバー ▼

ガラス繊維製のカバーで、200度程度の熱にも耐えられます。高温加熱ができるマントルヒーターには、この保温カバーを使用しています。

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弊社製マントルヒーター

弊社では、マントルヒーターを覆っている保温カバーのみの製作・販売もしています。繊維素材であるため、エルボ型の配管、バルブ、ロボットアームの関節といった複雑な形状の部品を覆って保温させることができます。特注品ですので、要望にあわせた設計・加工を施せます。

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弊社製保温カバーの製作例

保温カバーの詳細についてはこちらをご覧ください。

保温カバー スリーハイ製品

長所

  • 材質により200度程度、またはそれ以上(常用で350度程度)の高温でも使用可能。
  • 角形や複雑な形状の部品を覆って保温できる。

注意点

  • ガラス繊維のため価格がやや高め。

▼ シリコンスポンジ ▼

シリコン素材を使ったスポンジ製品です。ストレート配管など直線状の部品や、箱型のケースに密着して取り付けることで放熱を抑えます。前述の保温カバーよりも安価で、部品を数多く保温したいときに重宝します。また、シリコン素材は柔軟で弾力があります。加工もしやすく、カッターで切り取ったりするのが容易です。また、薬品の耐性に強く、化学薬品を扱う設備に使うのに適しています。

弊社では、シートタイプキャタピラタイプチューブタイプ角紐のほか、着脱が容易な背割れ加工丸チューブなど、用途に応じたさまざまな形状のシリコンスポンジを用意しています。

保温カバーと比べると耐熱温度が200度程度までです。ヒーターの上にかぶせて使用するときは温度管理に注意が必要です。

取り付けの際は事前にお問い合わせいただくか、、シリコン耐熱接着剤をいっしょにご注文ください。

長所

  • ストレート配管、平板、箱型容器に有用。
  • 保温カバーより安価。
  • 気軽に加工できる。
  • 薬品などの付着にも耐えられる。

注意点

  • 耐熱温度は200度程度まで。

電気代を節約するための活用法

保温カバーやシリコンスポンジは次のように使うと、電気代の節約に力を発揮します。

ヒーターにかぶせて保温力を高め、温度制御を軽減

産業用の設備に電気ヒーターを使用するときは、一定の温度に保つよう温度コントローラー(サーモスタット)で指定の温度に設定しておく必要があります。このとき、ひと工夫すると電気代の節約につながります。

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弊社製温度コントローラー monoone+B(左)とmonoone+W(右)

気温の低い冬場はヒーターでの加熱時間が長くなり、それだけ電力を消費します。また、設定温度に到達して自動的に加熱が止まっても、すぐに熱が冷めてしまいます。すると、温度コントローラーが検知してヒーターを再び加熱させます。この動作が頻繁に繰り返されると、電気が流れるときに作用する過渡現象の影響で電力を無駄に消費します。

そこで、ヒーターの上に保温カバーやシリコンスポンジを被せて外気を遮ることで、ヒータの加熱時間を短縮させるとともに、保温効果により温度コントローラーの再加熱動作を減らして電力消費を抑えるようにするのです。

実際にこの方法を取り入れた現場では、1キロワットのヒーターを6時間使用していたのが3時間程度にまで減らせることができ、その分の電気代が節約できたといいます。使用環境や使用電力にもよりますが、保温製品を用いることで一定の効果をもたらしたといえます。

追記:シリコンスポンジを併用してヒーターで加熱するとどのくらい電気代が節約できるか社内で実験したところ、電気代を3割程度節約できることがわかりました。詳しくはこちらをご覧ください。

参考:実験!ヒーター加熱でシリコンスポンジを使うと電気代はいくら節約できるか

加熱器具を使わず、外気を遮断して凍結を防止

電気加熱をせず、配管や屋内の水道管などに保温カバーやシリコンスポンジを直接取り付けて、夜間の凍結を防ぎます。保温カバーもシリコンスポンジも外気を遮断する効果があります。古くから用いられてきた白熱球投光器をあてて凍結を防ぐやり方では電気代がかかります。投光器を複数使用すればなおさらです。

保温カバーやシリコンスポンジだけでも、外からの冷気による凍結を十分防げます。電気代の節約だけでなく、生産ラインの凍結トラブルを防ぐことができます。

産業機器の保温には安心感のある製品がおすすめ

電気代の節約や凍結防止のために保温カバーやシリコンスポンジを購入せずとも、ホームセンターで売っている断熱材や断熱シートを使えば費用は安上がりで済むでしょう。

しかし、産業用機器で使うには十分な保温効果が得られるとは限りません。ホームセンターの断熱製品を調達して自前で加工すると密着が甘かったり隙間ができたりして、そこから放熱や冷気の入り込みが生じやすくなります。その結果、保温や断熱が不十分な場合があります。

ヒーターに被せて使う場合、200度程度の温度に耐えられるのはシリコン素材が必要です。しかも、シリコン素材は化学薬品にも強い性質があります。ホームセンターで手に入る断熱製品は耐熱温度が低いものがあり、耐薬品性の保証もないため、業務用には不向きです。

弊社では、保温カバーやシリコンスポンジを要望に叶うように加工して納品しています。そのため、配管などに取り付けたときに熱を逃がしたり、外気を取り込んだりするのを抑えることができます。これにより、電気代の節約に寄与できるとともに、生産ラインを常に確実に稼働できるという安心感を与えています。最初は割高感はあるかもしれませんが、実際に使っていくうちに手応えを感じられると自負しています。

製造現場での電気代節約は冬が過ぎても当面は続くと見込まれます。今のうちに電気代節約のための対策を講じておくことは重要になってきます。御社の生産ラインに最適な保温・凍結防止製品を提案いたしますので、関心がありましたらぜひご相談ください。

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