- ヒーターの知識
温度調節器「monoone」の意外な動作不具合事例を紹介!!
2020年09月11日
中山 勉
こんにちは!スリーハイの中山です。
スマートフォンを機種変更した際、無手勝流でさままざな設定をすると突然警告が出て、対処に困ってしまうことってありますよね?
あらかじめ取扱説明書をしっかり読んでおけば、不具合が発生しても適切に対処できます。しかし、突然のエラーにあわててしまうと、その場で取扱説明書を読んでも頭の中に入らず、電話サポートに頼るのではないでしょうか。
スリーハイのデジタル温度調節器「monoone(モノワン)シリーズ」にも、エラーへの対処方法を詳しく解説した取扱説明書を同胞してあります。突然のエラーや異常が発生しても、取扱説明書を参照すればたいていの場合すぐに解決できます。とはいえ、スマートフォンの設定トラブルと同じで、取扱説明書を読むより直接電話で聞いたほうがすぐに解決できるのではと、電話での問い合わせを受けることが多くあります。
もちろん、こうした問い合わせはいつでもOKなのですが、電話する手間が省けるよう、今回はmonooneシリーズでよくある不具合について説明します。
まずは基本!monoone-120のエラーコード一覧
monoone-120のエラーは全部で7種類あります。
エラー |
表 示 |
原 因 |
制御
出力
|
警報出力 |
||
① |
内部メモリー異常 |
· 元電源投入時、不揮発メモリーから読み出した値が範囲外の時 · ノイズの影響を受けた時 |
OFF |
ON |
||
② |
PVセンサーバーンアウト |
· センサー入力が測定範囲外の時 · センサーの断線時 |
OFF |
ON |
||
③ |
過昇温防止検知 |
と「測定温度」を交互に表示 |
絶対値 |
測定温度≧過昇温防止設定温度 |
OFF |
ON |
偏差 |
測定温度≧過昇温防止設定温度+設定温度 |
|||||
④ |
ヒーター故障 |
警報出力OFFの場合は非表示 |
· ヒーター断線を検知した時 · SSR短絡を検知した時 |
OFF |
|
|
⑤ |
モニター過昇温防止検知 |
と「PV表示温度」を交互に表示 |
絶対値 |
モニター温度≧過昇温防止設定温度 |
OFF |
ON |
偏差 |
モニター温度≧過昇温防止設定温度 |
|||||
⑥ |
モニターセンサーバーンアウト |
· モニターセンサーが測定範囲外の時 · モニターセンターの断線時 |
ON |
ON |
||
⑦ |
ロック中警告 |
· LoC=01:パラメータ画面での操作時 · LoC=11:タイマーボタン以外を押した時 |
ON |
OFF |
こんなにたくさんのエラーがあると困惑してしまいますが「Er 0 」や「Er 5 」、「LcC 」が出る事例は非常に少ないです。ヒーター異常の「Er 3 」、温度センサー異常の「Er 1 」、「Er 4 」がほとんどです。
※「 Er 1」と「Er 4 」の違いは、接続しているセンサーの端子台の位置(表示画面)です。この場合、ヒーターや温度センサーが断線していないかの確認やケーブルがちゃんと端子台に接続されているかの確認をしてください。
電源だけ繋いでヒーターやセンサーを接続し忘れたままmonoone-120に電源をいれるとエラーが出ます。
余談ですが、下の写真ではmonoone-120にまで電気が流れてきています。この状態でヒーターを接続しようとするとショートします。過去に私もセットアップしていてショートさせてしまい、端子台を焦がしてしまった経験があります。しかも、本体だけではなく部屋のブレーカーも落ちてしまいました。
火事を起こしかねず非常に危険ですので、ヒーターや温度センサーを接続する際には必ず電源に繋がっていないことを確認してから作業を始めてください。
どんどん熱くなるのに表示温度は上がってこない!!
これは、過去に起こった事例です。
本来でしたらセンサーが感知した温度が制御温度に到達するとヒーターへの通電を止めるのがmonooneの正常な動作です。
しかし、ヒーターが触れないほど熱くなっているのに、monoone-120が表示している温度は20℃や30℃と常温に近い温度になっている事例が数件ありました。ヒーターの制御が効いていないので、本来なら何かしらのエラーが出ないといけないはずです。ところが、この時はそのままヒーターに通電してしまい、非常に高い温度になっていました。
なぜ、こうなってしまったのでしょうか。
原因はセンサー異常!でもエラーは出なかった!?
温度制御をするためには、温度センサーが温度を関知して、その温度をmonooneに伝達します。しかし、次のような2つのケースでは、うまく感知できないことがありました。
●ケース①:温度センサーがヒーターから外れている!
これは単純明快です。
下の写真のように、温度センサーがヒーターに接触していない状態です。
棒状のものが温度センサー(K型熱電対シースタイプ)で弁柄(オレンジ色)が弊社のシリコンラバーヒーターです。
温度センサーはヒーターにきちんと接触させておかないと温度を正確に測れません。熱は熱源から離れるほど温度は低くなっていきます。
特にシリコンラバーヒーターの場合、加熱対象物に密着させて熱伝導をさせるように設計しています。そのため、きちんと接触しておかないと、ヒーターの温度ではなくヒーターより少し浮いた位置の温度を測定してしまうことになります。その結果、実際のヒーターの温度より低くなってしまうのです。
こうしたトラブルを防ぐため、弊社では温度センサーが外れないようにセンサーポケットも製作しています。
センサーポケットは、ヒーターの上にトンネルを作り、その中に温度センサーを差し込めるようにした簡易固定具です。このセンサーポケットを取り付けておけば、温度センサーが抜けることを防止できます。
●ケース②:温度センサーがねじれてしまっている
実は、温度センサーがねじれると測定した温度が表示できないこともあるのです。
通常、温度センサーが断線すると電気は流れず、エラー機能が働いて通電がストップします。ところが、温度センサーがねじれても断線せずに金属同士が接触してしまうと、新しい回路ができて電気が流れてしまうことがあります。
以前にこのブログで書きましたが、熱電対(温度センサー)は2種類の金属の接点で温度を計測しています。
温度センサーは絶縁物で金属同士の接触を防ぐようにしてあります。ところが、下の写真のようにコネクタに接続するときに、金属を剥き出しにしてしまうと、ねじれた箇所のコネクタ部分が接触してしまうことがあります。その際、接触部分がmonooneに近いと、そこの温度を測定してしまうのです。
原因に気がついたとき、まさかコネクタの部分の温度を検知しているとは思いもよりませんでした。温度検知をする部分が正常に働いていなかったために、ヒーターにどんどん電気を送ってしまい、ヒーターは能力限界まで発熱し続けていました。ヒーターにとって非常に危険です。
その他の動作不順のケース
ほかにも、時々困ってしまうパターンがあります。
●制御温度が300℃以上に設定できない。
monoone-120の初期設定で温度が上がらないようになっています。
●ヒーターの表示温度が下がっていく。
センサーの端子のプラスとマイナスを逆に繋いでいる可能性があります。
●ヒーターがあたたまらない。
monoone-120には20Aのヒューズが入っています。ヒューズが溶断している可能性があります。この場合本体に電気は流れていますが、ヒーターにまで電気は流れません。
最後に
いかがでしょうか?
不具合の事例は出さないほうがよいのではないかと思ったのですが、過去の事例を挙げること不慮の事故が少しでも防げればと思い。今回のブログを書きました。
最後に、monoone-120のプロモーション動画を最近作りましたので、ぜひご覧ください。
スリーハイではさまざまなノウハウを持っています。ヒーターのこと、温度制御のことなど、気になることがあればいつでも気軽にご相談ください!
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- 「困っている人の力になりたい」微力でも何かあったら思い出してもらえるようなひとになりたいです。