北海道ジャーナル - 北海道の産業用・工業用ヒーターのお悩みを解決 - 株式会社スリーハイ 札幌事業所

  • 営業レポート

室蘭の空に響く若者のエンジン音

今回の記事は室蘭工業大学の学生サークルへヒーターを提供するために、男澤が訪問したレポートになります。

札幌駅の朝/旅のはじまり

北海道訪問、2日目の朝、札幌駅構内の立ち食いそば「弁菜亭」で、香り高いつゆに包まれました。
湯気の向こうのホームでは、特急「スーパー北斗」が静かに待機しており、 外国人旅行者の姿も多く、北海道が観光と産業を同時に抱える地であることを実感します。

列車が動き出し、窓外に流れる秋の北海道。登別駅を過ぎたあたりで、10年前に初めて室蘭工業大学(公式サイト)を訪ねた日のことを思い返しました。

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10年越しの再会

あのとき、若造の私は研究室のドアの前で足を止めました。挙動も拙く、準備も不十分だったでしょう。
それでも先生は温かく迎えてくださり、それが私とスリーハイにとって、先生との長いご縁の始まりでした。

その後も、技術相談、学生プロジェクト支援、企業連携など、ずっと見守っていただいてきました。
再びこの道を訪れるとき、私はただの"お客"ではなく、共に技術を探るパートナーの一人になれているように感じます。

潮風と知の拠点、室蘭工業大学

室蘭工業大学は、太平洋を望む臨海の高台に立ち、 鉄鋼・重工業のまち・室蘭の技術基盤と近接しています。
学生・研究者は"海・鉄・空気・熱"を肌で感じながら学ぶことができ、実務と理論を結ぶ教育と地域連携が息づく大学です。

この地ならではのリアルな学びが、SARDのような実践的なプロジェクトを育む土壌となっています。

SARD の全体像と挑戦

SARD(学生宇宙研究開発機構/公式サイト)は、 室蘭工業大学公認の宇宙系サークルで、Hybrid Rocket(ハイブリッドロケット)CanSat(カンサット)衛星プロジェクト3領域で活動しています。

現在注目されているのは Hybrid Rocket プロジェクト。
自作エンジンを搭載し、高度100km突破を目指す挑戦です。

組織は、構造班・電装班・燃焼班の3部門に分かれ、それぞれが専門分野を担いながらチーム全体の推進力を高めています。
2025
3月にはクラウドファンディングを実施し、目標123万円を超える支援を獲得。
開発・実験・移動などにかかる費用を確保し、"自作エンジンで打ち上げる"という夢を現実へと近づけています。

安全性とコストの両立を目指すハイブリッド方式は、固体燃料と液体酸化剤を組み合わせた構造で、燃焼制御の自由度を高めます。
学生たちは、試行錯誤の中で自らの手で技術を磨き、「室蘭の空から宇宙へ」を合言葉に挑戦を続けています。

SARDとスリーハイの関わり

今回、SARDの燃焼実験に使用されるヒーターを納品しました。
まだ実際の運用はこれからですが、設置状況の確認と温度制御の方法を共有し、学生たちが安心して実験に臨める環境づくりを支援しました。

彼らの真剣なまなざしを見ていると、""を扱う仕事の本質は温度を上げることではなく、挑戦する人の背中をそっと温めることなのだと気づかされます。

また、先生からは今後の教育プロジェクトに向けたヒーター応用のご相談もいただいています。
ここでは詳しく触れませんが、そこには"想いを伝える熱"が込められています。

室蘭工業大学の強み

室蘭工業大学の立地と産業環境は、まさに実践型教育の宝庫です。
海、鉄鋼、機械加工といった産業基盤が身近にあり、材料調達や加工支援が地域内で完結する。
この"地の利"が、学生たちの学びを加速させています。

先生はこう語っていました。
「できるだけ学生には多くのチャンスを与えたい」
その言葉に、地域と大学、そして企業が一体となって次の世代を育てていく未来の姿を感じました。

ここだからできる研究、ここでしか育たない人材。
それが、室蘭工業大学の誇りであり、SARDの原動力です。

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未来への情熱と余韻

研究棟を後にするとき、学生たちの笑顔と声が、まるでエンジンの残響のように胸に残りました。

10年前、私はただの訪問者でした。
今は、同じ熱を胸に抱く者として、この場所に立っています。

東室蘭駅前の夕暮れ空を見上げながら、"技術が空を越えて、想いはその先へと届く" そう感じました。

SARDの皆さん、先生方、ありがとうございました。
若者たちの挑戦が、室蘭の空を震わせ、未来を照らしています。
そして私もまた、この熱に応えて、心のエンジンを再点火しました。

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