ヒーターブログ

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アメリカ・ダラスの江戸前鮨店を支えた、オーダーメイドのシリコーンラバーヒーター導入事例

「鮨は温度が命」。これは日本で鮨に携わる方なら誰もが実感していることだと思います。そしてその考え方は、海を越えてアメリカ・テキサス州ダラスでも、変わらず大切にされていました。

今回ご紹介するのは、ダラスで江戸前鮨店を営むお客様からご相談いただいた、食材(シャリ)保温用シリコーンラバーヒーターの導入事例です。既製品が手に入らないという制約の中で、どのように課題を整理し、どのような製品提案を行ったのか。その結果、お客様がどのような価値を感じてくださったのかをお伝えします。

シャリの温度管理をシリコーンラバーヒーターで

お客様のお店は、2022年春にダラスで開業されました。日本の江戸前鮨を本場の技術と考え方のまま提供することをコンセプトに、テキサスの食通の方々に向けて営業されています。開業以来、評判は非常に高く、多くのお客様に支持され、現在ではミシュランガイドで星を獲得するほどの繁盛店となっています。

その中で、日々の営業に欠かせないのが「シャリの温度管理」でした。お客様は以前、他社製品の電気式の保温シャリびつを使用されていました。この製品は、金属板とネットを敷いた構造で、シャリを適温で安定して保温できる優れたものでした。

ところが、将来的な業務拡大を見据えて追加購入を検討された際、すでに製造終了となっており、在庫もなく、再販予定も未定であることが判明しました。そこでお客様が考えられたのが、「同等の機能を自作できないか」という発想でした。既存のシャリびつの中に、市販の電気炊飯器の内釜を入れ、その中でシャリを保管する方法はすでに実践されており、この方法のほうがシャリの状態をより良く保てるという実感もお持ちでした。

理想とされていた構造は、木製のシャリびつの側面、もしくは底面に小さな穴を開け、そこから電源コードを通して、底面にシリコーンラバーヒーターを設置するというものです。その上に炊飯器の内釜を置くため、ヒーターやコントローラーが水に触れる心配はありません。

具体的なご要望としては、

  • ヒーター形状は円形
  • 直径は12~13cm程度
  • 設定温度は44~46℃
  • 使用時間は1日約4時間
  • アメリカの電圧(110V)に対応
  • 消費電力は約50W
  • コード長は100~120cm

という、かなり明確なイメージをお持ちでした。

どう使われるかを考えてオーダーメイド設計

このご相談を受けて、私たちがまず考えたのは、「既製品を当てはめる」のではなく、「使われ方から逆算して設計する」ことでした。

シャリびつという限られたスペースに確実に収まり、なおかつ取り回しが悪くならないこと。木製のお櫃に加工した穴を通すため、電源コードやコネクタ部分はできるだけコンパクトであること。そして、海外で使用されるため、電圧仕様や安全性も含めて安心して使える構成であること。

シリコーンラバーヒーター自体は、サイズや形状を自由に設計できるのが強みですが、ヒーター単体だけでなく、温度センサーの位置や配線の取り回し、コントローラーとの接続方法まで含めて考えなければ、実際の現場では「使いにくい製品」になってしまいます。

そこで今回は、お客様のお使いのお櫃に確実に収まる直径で円形ヒーターを設計し、シリコンスポンジ仕様とすることで、底面への当たりを柔らかくしつつ、熱を均一に伝える構成としました。温度センサーも一体化し、設定温度44~46℃を安定して維持できるよう配慮しています。

また、コードを通す穴のサイズに合わせ、できる限り小型で着脱しやすいコネクタを選定しました。これにより、清掃やメンテナンスの際も、ヒーターを簡単に取り外せるようになっています。

設計段階では、完成イメージ図を作成し、「このサイズ感で、この位置に収まります」という視覚的な共有を行いました。海外のお客様とのやり取りでは、言葉だけでなく、図での合意形成が非常に重要です。結果として、この時点でお客様から明確なご理解とご納得をいただくことができました。

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ご提案した製品の内容

今回ご提案したのは、以下の構成です。

シリコンラバーヒーターは、円形・特注サイズで、シリコンスポンジ仕様、温度センサー付き。温度調節には、温度調節器「monoOne-120(コード・プラグ付き)」を組み合わせました。

アメリカの110V電源に対応し、消費電力もご要望どおり約50Wに抑えています。1日4時間程度の使用であれば、電力的にも無理のない設計です。

提案した製品のポイントとお客様の評価

導入後、ヒーターはお客様のお櫃にぴったりと収まり、想定どおりの構成で問題なくご使用いただいています。シャリの温度も安定し、営業中に温度のばらつきを気にする必要がなくなったとのことでした。

何より印象的だったのは、「以前使っていた保温シャリびつと同等、もしくはそれ以上に扱いやすい」というお言葉です。既製品が手に入らなくなったというネガティブな状況からスタートしましたが、結果的には、現場の運用によりフィットした形に進化させることができました。

また、お客様のお店がミシュランガイドで星を獲得されるほど評価されていると伺い、私たちとしても、ヒーターという裏方の製品であっても、その一部を支えられたことを大変うれしく感じています。主役はあくまで料理と職人の技ですが、その品質を安定して支える環境づくりに貢献できたのであれば、本望です。

既製品がなくお困りの方へ

今回の事例が示しているのは、「既製品がない=解決できない」ではない、という点です。スリーハイでは、今回のようにサイズ・形状・電圧・温度条件など、お客様の使用環境に合わせて、一品一品カスタムメイドでヒーターを設計・製作することが可能です。

国内外を問わず、食品関連設備、保温用途、温度管理でお困りのことがあれば、「こんな使い方はできるだろうか」という段階からでも構いません。現場の条件を丁寧に整理し、最短距離で実用的な解決策をご提案します。

製品が主役になることは多くありませんが、現場で「当たり前にうまくいく」ことこそ、私たちが目指す価値です。今回のダラスの鮨店様のように、その一助となれる事例を、これからも積み重ねていきたいと考えています。


■記事作成にご協力いただきありがとうございました。
Tatsu Dallas
https://www.tatsu-dallas.com/

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