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温度センサーの種類を徹底解説!基本から用途別選定まで網羅
2026年02月13日
松本 英嗣
こんにちは、株式会社スリーハイの松本です。工場の温度管理から研究開発、品質保証まで、温度センサーは現場の"見える化"に欠かせない存在ですよね。ただ、「種類が多すぎて選び方が難しい...」という声もよくいただきます。そこで本記事では、温度センサーの基本原理、接触式・非接触式の代表的な種類と特徴、そして現場で失敗しない選び方のポイントまで、営業目線でわかりやすくご案内します。読み終えるころには、皆さまの現場にぴったりの一台がイメージできるはずです。
温度センサーとは?基本を理解しよう
温度センサーは、目に見えない「温度」を機器で扱える電気信号などに変換するデバイスです。家庭ではエアコンや冷蔵庫、給湯器が室温や庫内温度、湯温を自動制御。産業では生産ラインの反応温度や乾燥温度の管理、自動車のエンジンやバッテリーの監視、医療では体温計や医薬品の保管温度など、幅広く使われています。まさに、快適さ・安全・品質を支える縁の下の力持ちですね。
温度を数値化する仕組み
仕組みは大きく3つの代表原理で説明できます。まず、金属や半導体の電気抵抗が温度で変わる性質を利用する方法。抵抗値の変化を測れば温度がわかります。次に、異なる金属の接点に温度差が生じると電圧が発生する「ゼーベック効果」を使う方法。発生電圧から温度を算出します。そして、物体が放射する赤外線の量を読み取って温度に換算する方法。非接触で測れるのが特長です。この基本原理の組み合わせで、多様な特性の温度センサーが生まれています。
測定方式は「接触式」と「非接触式」の2種類
温度センサーの測定は、対象に触れて測る「接触式」と、離れて測る「非接触式」に大別されます。接触式は熱伝導で温度を取得、正確で安定しており、測温抵抗体や熱電対が代表格です。ただし、動く物体や高温・危険物、衛生面で触れたくない対象には不向きです。非接触式は赤外線エネルギーを捉えて温度を算出します。高速ラインの製品や溶鉱炉など超高温、化学薬品、食品の衛生管理に向いています。安全・迅速が強みです。
【一覧比較】接触式温度センサーの主な種類と特徴
ここからは現場でよく使われる接触式センサーを、温度範囲、精度、応答速度、耐久性、コスト、用途の観点で見比べていきます。違いがクリアになると、用途に合った選定がグッと楽になりますよ。
| センサーの種類 | 測定原理 | 主な特長 | 一般的な測定温度範囲 | 精度 | 応答速度 | コスト | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 熱電対 | ゼーベック効果 (異種金属間の熱起電力) |
広い温度範囲、シンプルで堅牢、 応答性が高い |
-200℃~2000℃以上 | 中程度 | 速い | 比較的安価 | 高温炉、ボイラー、 排気温度、射出成形機 |
| 測温抵抗体(RTD) | 金属の電気抵抗値変化 | 高精度、長期安定性、 再現性が高い |
-200℃~650℃ | 高精度 | 遅め | 比較的高価 | 食品・医薬品製造、 半導体製造、研究室 |
| サーミスタ | 半導体の電気抵抗値変化 | 高感度、小型、安価 | -50℃~300℃ | 高感度(狭範囲) | 速い | 安価 | 家電製品、バッテリー監視、 自動車(吸気) |
| IC温度センサー | 半導体PN接合の順方向 電圧変化 |
デジタル出力で扱いやすい、 直線性が良い、小型 |
-55℃~150℃ | 高精度(狭範囲) | 中程度 | 中程度 | PC/サーバー熱管理、 スマートデバイス |
| バイメタル式 | 熱膨張率の異なる金属 の湾曲 |
電源不要、直読可能、堅牢 | -30℃~400℃ | 低精度 | 遅い | 安価 | 電気オーブン、空調サーモスタット、 簡易的な表面温度測定 |
熱電対(Thermocouple):広い温度範囲と応答性が魅力
熱電対は、異種金属の接点に温度差があると微小な電圧が生まれる「ゼーベック効果」を利用するセンサーです。最大の魅力は、-200℃の極低温から2000℃超の超高温までカバーできる圧倒的なレンジ。構造がシンプルで壊れにくく、応答も速いので、急激な温度変化を追う用途にぴったり。コスト面でも導入しやすく、多くの工業分野で頼られています。注意点は、RTDに比べると精度はやや劣ること、そして正確な測定には「基準接点温度補償(冷接点補償)」が必要になる点です。高温炉やボイラー、エンジン排気、射出成形機など、過酷でスピードが求められる現場で真価を発揮します。
測温抵抗体(RTD):高精度な測定が得意
RTDは白金などの金属が持つ「温度で電気抵抗が正確に変わる性質」を使う高精度センサーです。長期安定性と再現性に優れ、いったん校正すれば信頼性の高い測定が続けられます。温度範囲は一般的に-200℃~600℃程度で、熱電対ほど広くはありません。応答はゆっくりめで、内部に細線を使うため振動や衝撃に弱い面があり、価格もやや高めです。食品・医薬品の厳密な温度管理、半導体装置の精密制御、研究室での高精度実験など、品質に直結する現場に最適です。
サーミスタ(Thermistor):高感度で安価
サーミスタはセラミック系の半導体材料が主役。温度変化に対して抵抗値が大きく変わるため、微小な温度変化にとても敏感です。小型で量産しやすく、価格も手頃。製品によっては-50℃〜500℃まで使えるものもありますが、基本的に狭い範囲での高感度測定に向きます。抵抗--温度特性が非線形なので広範囲・高精度には補正が必要で、経年劣化で特性が変わりやすい傾向もあります。家電、バッテリー監視、自動車の吸気温度など、コスト重視の用途で活躍します。
IC温度センサー:デジタル出力で扱いやすい
IC温度センサーはPN接合の温度依存性を使い、検出からA/D変換までを1チップに集約。デジタル出力で扱いやすく、直線性が良いのが魅力です。一般的な温度範囲は-55℃〜+150℃。PCやサーバーの熱管理、スマートデバイス内部の温度制御に最適で、ノイズに強く、組み込みも簡単。IoT機器の小型・高機能化にも貢献します。
バイメタル式:電源不要で直読可能
バイメタルは熱膨張率の違う金属板を貼り合わせ、温度で湾曲する性質を利用。針の動きで直接温度が読めます。電源いらずで堅牢、価格も安価。一方、精度は低めで応答も遅く、データ連携や遠隔監視には向きません。電気オーブンの目安表示、古い空調サーモスタット、配管・タンク表面の簡易測定などに使われます。スリーハイでも特注品の製作加工時に使用するときがあります。
【用途別】最適な温度センサーの選び方|5つの選定ポイント
「結局、どれを選べばいいの?」という疑問にお答えするため、現場で検討すべき5つのポイントを整理しました。スペック比較だけでなく、設置環境やシステム連携、運用まで見据えると、導入後のトラブルをグッと減らせます。
ポイント1:測定対象と温度範囲
まず「何を、何度で測るか」を明確に。対象が固体・液体・気体のどれか、材質は何かで適したセンサーや保護管が変わります。温度範囲は平常時だけでなく、起動/停止時、異常時の最低~最高まで想定しましょう。仕様範囲を超えると精度低下や故障につながります。余裕を持ったレンジ選定が基本です。
ポイント2:要求される精度と応答速度
品質保証が求められる工程なら高精度なRTDが有力。一方、異常発熱の監視や大まかな傾向把握なら、熱電対やバイメタルでも十分な場合があります。必要精度を±0.1℃なのか±2℃で良いのか、具体的に決めましょう。応答速度は、瞬時に追従が必要なら熱電対が有利。ゆっくり変化する対象なら遅めでも問題ありません。用途の優先順位に合わせたバランスが大切です。
ポイント3:設置環境(耐振動・耐腐食・防水性など)
振動・衝撃が強い場所では堅牢な熱電対が向き、RTDや一部サーミスタは注意が必要です。水や油、蒸気、屋外などでは保護管材質や構造、IP等級などの防水・防滴性能を確認しましょう。化学薬品工程ではシース材に耐食性が必須。SUS316L、ハステロイ、チタンなど環境に適した材質を選び、誤ると早期故障や生産停止のリスクにつながります。
ポイント4:出力信号と接続する機器
センサーの出力と、PLC・温調計・データロガー・マイコンなど受け側の互換性は要チェックです。4-20mAはノイズに強く長距離伝送に有利、電圧出力は配線が容易だがノイズ影響を受けやすいことも。熱電対・RTDを直接接続する際は入力モジュールの対応が必要です。IO-LinkやModbus対応のデジタル通信型なら、配線削減や診断情報の取得にメリットがあります。既存システムとの整合性と将来拡張を見据えましょう。
ポイント5:導入コストとメンテナンス性
初期費用だけでなく、TCO(総所有コスト)で考えるのが賢い選び方です。安価でも故障が多い、交換・校正が頻繁だと、交換や人件費、生産停止による損失で高くつきます。交換のしやすさ、校正の頻度・手順、代替品の調達性(標準品か特殊品か)など、メンテナンス性も評価項目に。信頼できるベンダーから一貫した提案を受けることで、在庫やトラブル対応もスムーズになります。
ケーススタディ:こんな時はどのセンサーを選ぶ?
実際の製造現場のシナリオで、選定の勘所をつかみましょう。頻出の4ケースを取り上げ、最適なセンサーと選定理由を営業目線で解説します。
ケース1:工場の高温炉の温度管理
1000℃超を扱う焼成炉や溶解炉では、RTD・サーミスタ・ICは範囲外。第一候補は熱電対です。汎用で広範囲をカバーするKタイプ(クロメル-アルメル)が有力。さらに高温・高精度・長寿命を求めるなら、貴金属のR/Sタイプを検討します。腐食性ガスや熱ストレスから守るため、セラミックや特殊金属の保護管とセットで導入すると耐久性が上がり、安定稼働に直結します。
ケース2:食品の品質管理(HACCP対応)
加熱殺菌や冷却工程など、厳密な温度監視が必須の場面では、高精度・安定性・再現性に優れるPt100(白金測温抵抗体)が最適です。接液部材質はSUS316Lなど耐食性に優れたもの、サニタリー仕様(ヘルール継手など)で洗浄しやすさも重視。包装品や表面温度のスポットチェックには非接触の赤外線センサーを併用すると、衛生的かつ迅速に確認できます。
ケース3:電子機器やサーバーの熱対策
基板やCPU、サーバーラックの監視では、-40℃〜125℃程度の範囲で十分。小型・安価・扱いやすさがポイントです。マイコンと直結できるデジタル出力のIC温度センサーが便利。サーミスタも高感度でスポットの検知に有効です。ノイズに強く組み込みが容易なので、IoTデバイスの熱対策にも向いています。
ケース4:動いている製造ラインや危険物の温度測定
接触が難しい高速ライン、溶鉱炉、腐食性薬品タンク表面、食品の非接触測定などでは、赤外線温度センサー(放射温度計)が最適です。放射率の設定を対象に合わせ、距離・視野角、水蒸気や煙・埃の影響を考慮することで、非接触のメリットを最大化できます。
温度センサーに関するよくある質問(FAQ)
Q. 熱電対の種類(K、J、Tなど)による違いは何ですか?
記号は材質の組み合わせを示し、温度範囲・精度・耐食性・価格が異なります。Kタイプ(クロメル-アルメル)は汎用で-200℃~1200℃程度。Jタイプ(鉄-コンスタンタン)は還元性雰囲気に適し0℃~750℃程度。Tタイプ(銅-コンスタンタン)は-200℃~350℃程度の低温域に向き高精度。R/S/Bタイプ(白金-ロジウム系)は0℃~1600~1800℃の高温測定で安定性に優れます。スリーハイで取り扱う温度センサーは、K熱電対・白金抵抗体の2タイプになります。
Q. 測温抵抗体の「級(クラスA, B)」とは何ですか?
JISやIECで定める精度等級です。Pt100の例では、0℃における許容差がクラスBで±0.3℃、クラスAで±0.15℃。高精度が必要な用途はクラスA、コスト優先や一般監視はクラスBが適しています。
Q. センサーの校正はどのくらいの頻度で必要ですか?
種類、使用環境、重要度で変わるため一律ではありません。RTDは長期安定、熱電対は高温や振動でドリフトしやすい傾向があります。一般的には年1回が目安とされることが多く、ISO9001等の運用では社内規定に基づく計画的な校正が推奨されます。メーカー推奨や過去データに基づき最適周期を見直しましょう。
まとめ:用途に最適な温度センサーを選定し、生産性と品質を向上させよう
温度センサーは「接触式」と「非接触式」に分かれ、熱電対、RTD、サーミスタ、IC、赤外線温度センサーなど多様な選択肢があります。「何を何度で測るか」、必要な精度・応答、設置環境、出力信号と接続機器、導入コストとメンテナンス性という5つのポイントを総合的に検討すれば、導入後のトラブルを抑え、安定運用に近づけます。IoTと組み合わせれば、遠隔監視・異常検知、データ活用による品質向上・予知保全まで視野が広がります。皆さまの現場に最適なセンサー選びを、私たちも全力でお手伝いします。どうぞお気軽にご相談ください。

- 松本 英嗣
- 「熱のエキスパート」 お客さまが抱えている熱問題を解決することが私たちの使命です。全国どこでも駆けつけます。これがスリーハイスタイル。



